マイブーム

週末は女友達が連泊して、おうちから一歩も出ずにお習字三昧。先月は香炉の灰ばかりいじっていたのに今は硯と墨が親友である。浮気性でごめんね。
最初は少しの水でささっと墨を擦って細筆で文庫本を書き写す。鏑木清方『明治の東京』/鈴木大拙『東洋的な見方』などの随筆集から気に入った篇をつらつら書くこと小一時間。最初の三十分くらいは、どしてこんな字しか書けないのよと不満ばかりだが、ちょっと慣れてくるとそれなりに愉しくなってくる。水を差し墨をさらに擦り、煙草とお茶なども楽しみながら、中から気に入った文字を何度も書いてみる。書き続けていくと、文字そのものが持つイメージの繋がりを感じられるようになるのが激しい快楽。何度か繰り返し同じ文字を書き続けるとその文字の見せどころ、書きどころが判ってくるからひとしきり字形を覚えたところで、ようやく太筆に持ち替えて何度か書くと墨が終わって疲労困憊。一度硯と筆を洗ってお菓子などつまみながらMacの部屋に行ってメールチェック。こんな感じで普段は昼夜2セットだが、週末は4.5セットやったように思う。新しい愛人と遊びすぎて右肩がパンパンにこりまくり。見境もなくカキスギ。

硯遊びを始めて半月になる。最初に購入した墨が1/3程消耗しているのに気がついてちょっと驚愕。減るもんじゃないかもと思っていたので。慌てて女友達から墨を借りたり(減らさずに返却出来るかどうかははなはだ疑問であるが)、オクションを物色したり。まったくいつになったら霞だけ食べて生きていけるようになるのだろうか。女友達からは書道セット一式借り受けて、文鎮とか、筆置きとか、新兵器が導入され。今まで使っていた筆はひどくて上手に書けない理由としては最適だったのだが、それでも書き続けるうちにようやく墨の含みとか、払いのコシとかが判ってきて、長く付き合えば不細工も愛嬌のうちという心持ちになれたんだけど、今度の筆は皆具合がよくて面白いようによく書けるのでつい腕が痛くなるまで遊んでしまった。やりすぎでダルイのはアッチの話ばかりでもないなと。