プチ解脱

あんまり毎日高価な硯のことを考えてぐるぐるしていたのだが、硯予算を大幅に越える歯医者の領収証を見て溜め息をついている。
毎日毎日ヤフオク覗いて物欲レートを上げ続けた結果。

厭きた。
面倒になった。

墨の金箔飾りで傷ついた硯を眺めながらおまえで充分じゃないかと。

安い硯でも使えば愛着が沸いてくる。
まだ全然使えるし、
畜生おまえを大事にしてやるぜなどと勢いで誓ってしまいそうだ。

なんかどうだっていいやって気持ちになることは超円満解決だし、とにかく馬鹿馬鹿しくもすっきりして、素直に笑えてくる。
諦めることの解放感を最初に知ったのは火事の時。私にとっては具体的な残務処理よりその解放感の方がずっとずっと素敵な感じだった訳で。

わたくしが最近仏教に興味があるのはそういうことだ。